目次
SIPSとは
SIPSとは消費行動モデルの1つです。
こちらは「購買」に着目したものではなくソーシャルメディアの発展に対応した消費行動モデルとなっています。
2011年1月に元電通の佐藤尚之氏をリーダーとする「サトナオ・オープンラボ」が発表しました。
SIPSの概要
SIPSは、Sympathize(共感)→Identify(確認)→Participate(参加)→Share&Spread(共有・拡散)のそれぞれの頭文字をとったものになります。
それぞれの各段階をチェックしてみましょう。
「Sympathize(共感する)」
ソーシャルメディア上では共感されたコンテンツが拡散されていきます。
それゆえに、企業が発信する情報や、生活者がソーシャルメディア上で発信していく情報に生活者自身が共感をしてもらうことが重要になります。
企業が発信する情報の中には、CSR活動であったり、PR活動など、様々な種類の情報があります。
「Identify(確認する)」
発信された情報や商品に「共感」した生活者は自分にとって有益なものかを確認するために検索を行います。
検索以外にも、人づてで情報を得たり、ソーシャルメディア上で確認することもありえます。
「Participate(参加する)」
自身に有益なものと判断した際の消費行動は「参加」です。
例えば商品を購買したり、コミュニティに参加をしたり、SNSでは「いいね」を押したり「リツイート」などを行い、拡散をします。
結果、生活者自身が企業の販促活動に参加をする形となります。
「Share&Spread(共有・拡散する)」
参加した生活者の友人や知人などへの共有行動です
例えば口コミの拡散であったり、ソーシャルメディア上での紹介は、自動的に自らが所属するコミュニティやつながりに無自覚に拡散をすることに繋がります。
AISASとの違い
SIPSとAISASとの違いは、SIPSはよりソーシャルメディアに特化した消費行動モデルであることです。
AISASは Attention(認知・注意)→Interest(興味・関心)→Search(検索)→Action(購買)→Share(共有)のそれぞれの頭文字をとった消費購買モデルです。
2004年に株式会社電通が提唱したモデルであり商標登録がされています。
日本で普及しているAIDMAの概念を改良し、インターネット社会に適応した2つのSが組み込まれているのが特徴です。
そのSはSearch(検索)とShare(共有)です。
検索とは、製品やサービスに興味を抱いた生活者が検索エンジンやソーシャルメディア上で、その製品やサービスを調べることです。
共有とは、製品やサービスを消費した生活者が、友人知人に口コミを伝播したり、ソーシャルメディア上に口コミを記載したりすることです。
結果、共有された情報がまた検索されたり、Attention(認知・注意)に結びついたりします。
このようにAISASもSIPSもインターネット社会の発展に適応したモデルでありますが、製品やサービスの特性からどのようなモデルを適応して考えるべきかを検討して利用するとよいでしょう。
その他概念
AIDMA
AIDMAは消費者購買行動モデルの1つです。
1920年代のアメリカでサミュエル・ローランド・ホールが著作中で示したものとされています。
AIDMAはAttention(認知・注意)→Interest(興味・関心)→Desire(渇望)→Memory(記憶)/Motive(動機)→Action(購買)のそれぞれの頭文字をとった購買行動モデルです。
Memory(記憶)の部分をMotive(動機)とする場合もあるようですが、多くの場合Memory(記憶)で利用されることが多いです。
AIDA
AIDAはAIDMAのMemory(記憶)をとったものです。
アメリカで1920年代に応用心理学の分野の論文でE・K・ストロングが示したものとされています。
日本ではAIDMAを利用されることが多いのですが、欧米のセールスやマーケティングの現場ではAIDAを利用されることが多いようです。
AIDCA
AIDCAは消費者購買行動モデルの1つです。
AIDMAはAttention(認知・注意)→Interest(興味・関心)→Desire(渇望)→Conviction(確信)→Action(購買)
AIDAの提唱者であるE・K・ストロングが、AIDAに確信を加え修正したものとされています。
DECAX(デキャックス)
DECAXはコンテンツマーケティングの現場で利用される消費者行動モデルです。
DECAXはDiscovery(発見)→Engage(関係)→Check(確認)→Action(購買)→Experience(体験と共有)
こちらのモデルはコンテンツマーケティングにおける概念で、その特徴はDiscovery(発見)とExperience(共有)です。
企業側から宣伝広告を行うのではなく、消費者から発見をしてもらい、コンテンツを経て企業との関係性を構築するという流れになっています。
AISCEAS(アイシーズ)
AISCEASは、AISASをより詳細にした購買行動モデルです。
「Comparison(比較)」と「Examination(検討)」の2つが加わっています。
Attention(認知・注意)→Interest(興味・関心)→Search(検索)→Comparison(比較)→Examination(検討)→Action(購買)→Share(共有)のぞれぞれの頭文字を取っています。
AIDEES(アイデス)
AIDEESは元東京大学大学院経済学研究科教授の片平秀貴氏が提唱した消費者購買行動モデルです。
AIDMAの購買行動後に着目したモデルになっています。
Attention(認知・注意)→Interest(興味・関心)→Desire(渇望)→Experience(経験)→Enthusiasm(熱狂)→Share(推奨)
このモデルは、AIDMAとAIDまで同じ工程を辿りますが、ActionがExperienceに代わっています。
これは消費者にとって購買行動の目的は商品やサービスを「使用/経験する」ことにあると考えたためであると言われている。
結果、Share(推奨)ののちには、別の消費者をDesire(渇望)にするというモデルになっています。
AISAS
AISASとはインターネットが普及した社会に合わせて提唱された、マーケティングにおける消費者の購買行動をモデル化したものです。
2004年に株式会社電通が提唱したモデルであり商標登録がされています。
AISASは Attention(認知・注意)→Interest(興味・関心)→Search(検索)→Action(購買)→Share(共有)のそれぞれの頭文字をとったものです。
AMTUL
AMTULは購買行動モデルにおいて、マーケティングコミュニケーションの定量目標を達成できたかのどうかの評価と結びつけることを目的としたものです。
AMTULはAwareness(気づき)→Memory(記憶)→Trial(使用)→Usage(本格的使用)→Loyalty(ブランド固定)というプロセスを辿ります。
Awareness(気づかせる):再認知名率*1
Memory(記憶させる):再生知名率*2
Trial(試験的に使う):使用経験率
Usage(頻繁に使う):主使用率
Loyalty(ブランド名を決める):今後の購買意向率
これら各段階を定量的に把握することを主目的としているモデルです。
*1 再認知名率とは、ブランド名を与えることで製品として認知できる割合のことです。
*2 再生知名率とは、ブランド名を記憶していて、助けを借りずにブランド名をあげることができる割合のことです。