2020年3月11日、株式会社電通(以下、電通)が「2019年 日本の広告費」を発表されました。
電通は日本の広告費を毎年推定しており、2019年1〜12月における日本の総広告費は、6兆9381億円で前年比106.2%と8年連続で前年の総広告費を上回ったと報告されています。
※2019年の調査から推定方法が変更されているため、従来の推定方法だと6兆6514億円で前年比101.9%
前年比を大きく上回ったことももちろん大きなトピックですが、今回の発表で特に話題なトピックが「日本のインターネット広告費がテレビメディア広告費を上回った」という点です。
1990年代にインターネット広告が登場して以来、インターネットの普及とともに右肩上がりだったインターネット広告。
しかし、インターネット広告の費用がテレビメディア広告を上回ったことは2019年が初めてだったため、マーケターを中心に話題になっているのです。
そこで、今回はインターネット広告事業をメインとする弊社が「インターネット広告費がテレビメディア広告費を上回ったこと」の紹介と「今後の日本のWebマーケティング市場」の考察しました。
マーケターの方はもちろん、今後広告戦略の展開を考えていらっしゃる方も、ぜひご覧ください。
目次
1.広告の種類
みなさまに前提として知っておいていただきたいことは、「広告は媒体別だと3つに分けることができる」ということです。
一言に広告といっても、どのような広告がどこにカテゴライズされるのかを知っておかなければ、今後のマーケティング活動を加速させることは難しいでしょう。
- インターネット広告 マスコミ四媒体広告 プロモーションメディア広告
また、3つの広告費はさらに細分化できるため、それぞれ解説します。
媒体別広告1.インターネット広告
インターネット広告は、インターネット媒体に掲載される広告です。
SNSやアプリなどに表示される広告はインターネット広告に含まれます。
ただし、インターネット広告は媒体が多かったり、定義が難しかったりするためか、電通の今回の報告では詳細な項目は設けられていません。
このあと紹介するマス四媒体が由来のデジタル広告はインターネットに含まれます。
少しややこしいですが、インターネット上のプラットフォームに掲載された広告はインターネット広告に含まれるという認識で間違いないでしょう。
媒体別広告2.マスコミ四媒体広告
マスコミ四媒体広告はマスメディアと呼ばれる媒体で掲載される広告をさします。
マスコミ四媒体広告費の項目
- 新聞広告 雑誌広告 ラジオ広告 テレビメディア広告(地上波・衛星メディア)
前述したとおり、マスコミ四媒体由来のデジタル広告はインターネット広告に含まれます。
つまり、マスコミ四媒体広告は上記4つのいずれかの媒体に、直接掲載された広告のみ含まれるということです。
媒体別広告3.プロモーションメディア広告
プロモーションメディア広告費は上記2つに含まれない広告です。
看板などの屋外広告や、チラシなどの折り込み広告はプロモーションメディア広告です。
- 屋外広告 交通広告 折込広告 DM広告(ダイレクト・メール) フリーペーパー・電話帳広告 POP広告 イベント・展示・映像ほか
看板広告や交通広告などで、増加傾向にあるデジタルサイネージ広告はプロモーションメディア広告に含まれます。
2.2019年の日本のインターネット広告費がテレビメディア広告費を上回った
それでは、2019年の日本のインターネット広告費が、テレビメディア広告費を上回ったことを紐解いていきましょう。
電通の報告によると、
2019年の日本のインターネット広告費は2兆1048億円、テレビメディア広告費は1兆8612円です。
電通「2019 日本の広告費」
つまり、インターネット広告費がテレビメディア広告費を約2400億円上回ったのです。
上記の図の通り、インターネット広告費とマスコミ四媒体の近年の推移を見ると、インターネット広告費がマスコミ四媒体広告費を上回るのも、時間の問題ではないでしょう。
インターネット広告費が増加傾向にあるのは、インターネット上のプラットフォームやデバイスの多様化が背景にあると考えられます。
具体的には、検索行動の浸透やSNSの登場、スマートフォン・タブレットなどデバイスの多様化などが影響しているのではないでしょうか。
いずれにせよ、インターネット広告市場は今後さらに拡大していくと考えられます。
3.【考察】今後はさらに包括的なWebマーケティングが必要に
繰り返しですが、日本の広告市場は今後さらに拡大すると予想されます。
そのため、インターネット広告の重要性はもちろん、Webマーケティングの重要性も高まっていくでしょう。
このようなWebマーケティングを成功へ導くためには、包括的なWebマーケティング戦略の実行が必要不可欠です。
というのも、3つの要因があると考えています。
- 消費者の購買行動の多様化 テクノロジーの発展 国際イベントの開催
それぞれ詳しく解説します。
消費者の購買行動の多様化
デジタル領域では消費者の購買行動が多様化していることは、みなさまもご存知でしょう。
さらに、デジタルシフトによる加速度を増した近年、リッチメディアの登場などによりプラットフォームやWebサービスも多様化しており、インターネット広告を含むWeb環境はどんどん複雑化しています。
そのため、これまで通用していたWebマーケティング戦略が通用しなくなる可能性が高いと考えられるのです。
テクノロジーの発展
インターネットの発展に伴い、テクノロジーの進化が著しいこともご存知でしょう。
- 5G
- AI
- ブロックチェーン
5Gに関しては、2020年3月から商用化が開始予定です。
これによりデジタル領域の動画分野は大きく成長をしていくでしょう。
このようなテクノロジーの発展により、間違いなくインターネット広告やWebマーケティングに大きな影響があります。
国際イベントの開催
日本では2020年以降、国際イベントが多数開催されます。
日本人だけでなく、国際的なマーケティング施策が必要になることは明らかで、これに対応していかなければいけません。
テクノロジーだけでなく、国際化も今後さらに加速していくことが予想されるため、「国際イベントを機にWebマーケティングの力がある企業とない企業が明確に分かれるのではないか」と考えられます。
2020年は東京オリンピック・パラリンピックの開催も控えているため、日本の広告市場成長率は2019年を上回り、デジタル広告と従来の各メディアの組合せによる広告戦略も拡大傾向にあるでしょう。
4.まとめ
「ブランディングはマスで、レスポンスはWebで」という広告の使い分けはインターネット広告の登場からの常識でした。
しかし、2014年以降、企業がWeb戦略でブランディング広告を展開することがポピュラーになり、その常識はもはや無いものといっても過言ではありません。
「今後さらに激動の時代へと突入するであろうインターネット広告市場で、企業はどのようなWeb戦略を実行していけば良いか」
これを追求し設計し続けることは、企業のマーケターの急務になることでしょう。
そのため、これからもデジタル領域に関わる人材や、企業ごとのノウハウが重要であり、日本国内に留まらずグローバルな視点からトレンドの波を把握していくことがマーケターには求められるのです。