「公式サイトからの予約が増えない」「検索で上位にヒットしない」
「でも、ホテルでやるべきSEO施策がわからない…」
そんな悩みを抱えるホテルや旅館のオーナーさんも多いのではないでしょうか?
ホテルや旅館などの宿泊業では、検索結果において大手予約サイト(=OTA:Online Travel Agent)の存在感が圧倒的に大きく、ユーザーもOTAでの予約を好む傾向があります。
そのため、SEOでの集客難易度も高く、あなたのホテルでSEOに注力すべきかどうかは慎重に判断しなければなりません。
とはいえ、「少しでも公式サイトでの予約を増やしたい」「OTA依存を脱却したい」というホテルでは、基本的なSEOやユーザーのためのサイト改善は意識しておきたいところです。
そこでこの記事では、ホテルの公式ホームページで実施すべきSEO施策やホームページの改善施策について、わかりやすく解説します。
ぜひ参考にして、公式サイトからの予約増加につなげてください。
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目次
ホテル業界のSEO事情
ホテル業界のSEO集客には、以下のような特徴があります。
- OTAが検索上位を独占
- OTA経由の予約が4割以上
- 指名検索が検索流入の8割〜9割
それぞれ解説します。
OTAが検索上位を独占
「横浜 ホテル」「東京 ホテル 安い」「那覇 ホテル おすすめ」など、一般的に新規の宿泊者がよく検索するキーワードではOTAのWebサイトが上位に並びます。
たとえば、「楽天トラベル」や「じゃらん」「るるぶ」「ブッキングドットコム」のような大手予約サイトですね。
特定のホテルがこうした検索でOTAより上位にランクインするのは、一部のケースを除き、かなり難しいと思ったほうが良いです。
そもそも旅行者には、「一度に複数のホテルを比較したい」「さまざまな候補を見てから予約したい」というニーズがあるからです。
新規顧客のほとんどが、まずはOTAのサイトで情報収集したいと思っています。
Google検索は「検索ユーザーにとって最も利便性の高いページ」を表示する仕組みなので、OTAが上位に並ぶのは必然というわけです。
OTA経由の予約が4割以上
日本旅館協会の調査によると、ホテルや旅館の予約はOTA経由での予約が約45%と最も多くなっています。
対して公式サイトからの予約は約15%にとどまっており、残りは旅行代理店やその他経路からの予約です。
参考:令和4年度 営業状況等統計調査 – 日本旅行協会
OTAでは「ポイントが貯まる・使える」「過去の宿泊客のレビューが見られる」「複数のホテルを一度に比較できる」など、ホテル公式サイトにはない多くの優れた特徴があります。
そのため気に入ったホテルが見つかったら、OTAでの予約をするユーザーが多く、公式サイトからの予約はOTAより少なくなる傾向にあります。
指名検索が検索流入の8〜9割
実は多くのホテルにおいて、公式ホームページへの検索流入はその8〜9割がいわゆる「指名検索」です。
指名検索とは、「〇〇ホテル(ホテル名)」「〇〇ホテル クラブラウンジ 」「〇〇ホテル 駐車場」のように、ホテルや企業の固有名を含むキーワードでの検索を指します。
指名検索をするユーザーは、その前の段階であなたのホテルをすでに認知しています。
そこにはリピーターも含まれますが、多くは新規の宿泊客です。
新規宿泊客はOTAでホテルを絞り込んだ上で、さらに詳しい情報を求めてホテル名で検索し直してくるパターンが多いです。
ホテルのホームページが重要な理由
ホテル業界の特性からすると、ホームページに時間やお金をかけてもインパクトは少ないように思われがちです。
しかし、以下のようなメリットもあります。
- 直接予約を獲得できる
OTAからの予約獲得には通常、8〜15%の手数料が発生します。対してホームページでの直接予約には手数料が発生しないため利益率が高くなります。 - 自由に魅力を伝えられ、競合と差別化できる
OTAでは競合となるホテルや旅館と同じフォーマットで比較されます。それに対し、公式ホームページでは自由にホテルの魅力を表現できるため、競合との差別化やブランド力向上につながります。 - 予約の決め手になる
ユーザーがホームページを確認したときに欲しい情報や魅力的な情報が充実していると、ホームページが決め手となって予約してもらえる可能性があります。
予約を増やしたいホテルが取るべきSEO戦略とは
ホテル業界のSEOでは、OTAサイトと真っ向勝負をしても勝算はあまり大きくありません。
そこで、以下の戦略に特化してSEOやホームページ改善を進めるのがおすすめです。
- 指名検索対策
- ユーザービリティおよびCVRの改善
- マップ対策
それぞれ解説します。
1.指名検索対策
ホテル業では「指名検索」で確実に1位を獲得することが非常に重要です。
「〇〇ホテル」のようなホテル名だけでの検索はもちろん、「〇〇ホテル 朝食」「〇〇ホテル クリスマス」「〇〇ホテル 恵比寿」「〇〇ホテル 周辺」「〇〇ホテル 予約」など。
ホテルの特徴に関連して、ホテル名と一緒に検索されるキーワードがあります。
こうした指名検索キーワードのなかで、特に検索回数が多いキーワードでは確実に上位を狙いましょう。
指名検索で上位表示できていれば、指名検索してくれた「予約見込みの高いユーザー」を取りこぼすことなく自サイトに誘導できます。
また、指名検索数にはホテルの認知度も影響します。
指名検索数の母数を増やすという意味では、広告を打つのも有効なケースが多いため、広告とSEOを切り離さずに対策を進めることも大切です。
ホテルのリスティング広告運用については以下の記事で解説しています。
ホテル業界必見!リスティング広告の効果と運用ポイントを解説 -webma-
2.ユーザビリティおよびCVRの改善
ホテルでは上位表示すること以上に「訪問者にとって使いやすいサイト」を目指すことが重要です。
これは、指名検索からの流入が圧倒的に多いためです。
サイト内で必要なコンテンツを快適に閲覧でき、その場でスムーズに予約できることが何よりユーザーに求められています。
たとえば、スマホへの対応、表示スピードの高速化、わかりやすい位置への予約ボタン設置などは最低限整えておきましょう。
ユーザーにとってより利便性が高いサイトでは、CVRも大きく変わってきます。
また、サイト訪問者の満足度が高まれば、それはGoogleの評価にもつながり、最終的に検索順位にも反映されます。
3.マップ対策
「横浜 ホテル」など、「地域名 + ホテル」で上位表示するのは簡単ではありません。
OTAが強いため、中小規模のホテルがSEOに取り組んでも、1位や2位を獲得できるケースはまれです。
しかし、通常の検索結果より上部に表示されるマップ枠(3つほどホテルがピックアップされる枠)では、実質1位を獲得できるチャンスがあります。
「横浜 ホテル」の検索結果上部に表示されるマップ枠
Googleビジネスプロフィールの情報を充実させることで、マップ枠表示可能性を高められるので対策しておきましょう。
ホテル向けSEOベストプラクティス9選
ホテルが取り組みたいSEO施策は以下のとおりです。
- 指名検索から公式サイトへの導線をわかりやすくする
- 各ページのタイトル、メタディスクリプション、hタグを最適化する
- スマホ向けに最適化する
- サイトの表示スピードを改善する
- プランやサービスごとに魅力的なコンテンツを用意する
- 「公式ベストレート」を明記する
- Googleビジネスプロフィールの情報を充実させる
- 口コミの管理・返信をおこなう
- サイトへの流入状況をチェックする
それぞれ解説します。
※今回の項目作成にあたっては、株式会社WACULの調査も参考にさせていただきました。ホテルにとって示唆の多い調査データとなっておりますので、あわせてご確認ください。
宿・ホテル公式サイト比較調査・ベストプラクティス発表 | 株式会社WACUL
1.指名検索から公式サイトへの導線をわかりやすくする
検索結果上で「公式ホームページ」であることが瞬時にわかるようにしておきましょう。
これは、指名検索ユーザーが迷いなくサイトにたどり着けるようにしておくための「指名検索対策」の一環です。
効果的なのは、ページタイトルに【公式】という文言を入れておくことです。
【公式】をタイトルに表記したホテルの例
簡単な施策ですが、検索結果にはOTAサイトやリスティング広告などあらゆるサイトが並ぶため、【公式】と明記しておくと判別しやすくなります。
指名検索ユーザーに対して、検索結果上で公式サイトであることをアピールしましょう。
2.各ページのタイトル、メタディスクリプション、hタグを最適化する
SEOの基本である以下の3要素は、Googleのクローラーに対して「どのような内容のページか」を伝える役割があります。
それぞれの要素に上位表示したいキーワードが含まれているかチェックしましょう。
たとえば、「〇〇ホテル アフタヌーンティー」で上位を狙うなら、3つの要素でも「アフタヌーンティー」という言葉を含んでいるほうが検索でヒットしやすくなります。
ただし、無理にキーワードを詰め込むと、かえってユーザビリティが下がってしまいます。
人間であるユーザーを第一に考え、自然な範囲での最適化を意識しましょう。
タイトルやメタディスクリプションは検索結果にも表示されるので、キーワードを入れてユーザーのニーズにマッチさせると、クリック率を上げる効果もあります。
3.スマホ向けに最適化する
モバイルユーザーは年々増えており、今やスマートフォンでネットを利用する人が68%を超えています。
参考:総務省|令和3年版 情報通信白書|デジタル活用の現状
トップページや予約ページはもちろん、可能な限り、全ページをスマホ向けに最適化しましょう。
スマホ対応していない場合、ユーザビリティが下がり、予約獲得にも悪影響が出る恐れがあります。
また、現在のGoogleは「モバイルファーストインデックス」と呼ばれる仕組みを採用しています。
モバイルファーストインデックスとは、モバイルページの評価を基準にランキング決定する仕組みです。
スマホ最適化に未対応の場合は、Googleの推奨する「レスポンシブデザイン」でスマホ対応したページを用意するのがおすすめです。
ユーザーのデバイス(パソコン、タブレット、モバイルなど)に関係なく、同じ URLで同じHTMLコードを配信し、画面サイズに応じてコンテンツの表示方法を変更する方法
モバイル向けにサイトを最適化する方法については、Googleの公式ドキュメントもご確認ください。
モバイルファースト インデックスに関するおすすめの方法 | Google 検索セントラル
4.サイトの表示スピードを改善する
あなたも訪問したサイトの読み込み速度が遅く、あきらめて離脱した経験はないでしょうか?
ホテルのホームページでも同様に、表示速度が遅いとユーザーの離脱要因になります。
たとえば、ファーストビュー(サイト遷移直後の表示画面)にサイズの大きな画像や動画を使っていると、表示スピードを低下させることがあるので注意が必要です。
SEOの面でも、サイトの読み込み速度を評価する「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」という指標がランキングに影響します。
ランキングへの影響は軽微なものの、ホテルのホームページではユーザビリティ面から、表示スピードの最適化が欠かせません。
サイトの表示スピードに不安がある場合は、Googleが提供する無料ツール「PageSpeed Insights」を使ってチェックしてみてください。
コアウェブバイタルの改善方法については、当サイトの別記事で詳しく解説しています。
コアウェブバイタルとは?3指標のSEOへの影響や改善方法を解説 -webma-
5.プランやサービスごとに魅力的なコンテンツを用意する
ホテルの第一の目的はSEOで上位表示することではなく、宿泊者に対して施設やサービスの魅力を伝え、予約してもらうことです。
SEOのことは一旦置いておき、純粋に「宿泊者や検索ユーザーが予約前に閲覧できると嬉しいコンテンツ」を用意しましょう。
宿泊者は事前に「ここが不安」「このプランについて知りたい」「こんなサービスはある?」など、あらゆる疑問を解消したうえで予約をしたいと思っています。
そんなユーザーの疑問に寄り添い、背中を押してあげられる魅力的なコンテンツがあると好ましいです。
ユーザーを満足させるコンテンツであれば、フォーマット(テキスト・画像・動画など)は問いません。
サイト訪問者の知りたいことを解決してあげることで、結果的にSEOにもプラスに働きます。
6.「公式ベストレート」を明記する
予約を増やすという意味では「公式ベストレート(最安値)」をわかりやすい位置に明記することもインパクトが大きい施策です。
なぜなら、宿泊者にとっては「安く予約できるか」という点が予約の最大の決め手になるからです。
株式会社リョケンがホテル担当者向けにおこなった以下の調査をご覧ください。
上記のグラフは、「自社HP直予約」の構成比が30%以上の施設(つまり、一般的なホテルよりもホームページからの予約割合が高い施設)の実施施策を示しています。
この調査において「ベストレート保証」の実施率が100%だったことがわかっています。
また、ベストレートの表示位置については、「トップページ先頭付近」や「プランページ」が最多となっています。
ユーザーの目に自然に入るような位置で、最安値で予約できることを明記しましょう。
たとえば、ファーストビューや料金ページ、タイトルやメタディスクリプションなどです。
ホテルの事情でベストレート保証ができない場合もあると思いますが、可能なら明記しておくほうが公式ホームページからの予約率を高められます。
7.Googleビジネスプロフィールの情報を充実させる
Googleビジネスプロフィールを利用してホテルの施設情報を充実させましょう。
ビジネスプロフィールの情報は、Google検索の検索結果に反映されます。
たとえば、検索結果の地図や Googleマップ、さらにはホテル名で検索されたときに表示される「ナレッジパネル」もその一つです。
ホテル名で検索したときに表示される「ナレッジパネル」
Googleビジネスプロフィール上で正確なホテル情報を登録しておくと、ユーザーに正しい情報を提供できるだけでなく、順位にもプラスに働きます。
所在地や電話番号、営業時間、写真はもちろん、ホテル業では施設の特徴を伝える「ホテルの属性」も設定できます。
情報を充実させることで顧客にとっても役に立つので、可能な限り詳細な情報を提供しておくようにしましょう。
ホテルのビジネス プロフィールのスタートガイド – Google ビジネス プロフィール ヘルプ
8.口コミの管理・返信をおこなう
Googleビジネスプロフィールには口コミの管理機能もあります。
「口コミ」というと、OTAの口コミをイメージされる方も多いかもしれませんが、最近ではGoogleの口コミもホテル選びへ影響力が高まっています。
口コミ数が10件を下回るようなホテルでは、客室内にPOPを設置したり、お礼メールで依頼したりして、口コミを集めましょう。
口コミをいただいた際には返信をすることも重要です。
真摯に返信することで、既存顧客だけでなく、新規の口コミ閲覧者にも好印象を与えられます。
口コミの数やスコアはランキングにも影響するとGoogleは記述しています。
参考:Google のローカル検索結果のランキングを改善する方法 – Google ビジネス プロフィール ヘルプ
良い口コミに対しても悪い口コミに対しても丁寧に返信することを心がけましょう。
口コミ返信の例文を知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
Googleの口コミ返信の例文10選|型やポイントも紹介 -webma-
9.サイトへの流入状況をチェックする
サイトへの流入状況は定期的にチェックしておきましょう。
Google Search Console や Googleアナリティクス(GA4) を使えば、ユーザーのアクセス状況を分析できます。
たとえば、Google Search Console で「流入クエリ」を確認してみると、「想定していないキーワードで流入を集めていた」というケースもあります。
こうしたキーワードを発見したら、タイトルやメタディスクリプションの文言を流入の多いキーワードに寄せることでさらに流入を伸ばせるかもしれません。
あるいは流入キーワードをヒントに、何か顧客のニーズが見え、他のページ作成に生かせる可能性もあります。
指名検索だけでなく他のキーワードでも流入を増やすには、サイトを分析して改善する作業も地道に重ねていく必要があります。
自社での対策が難しいならSEOのプロに相談
SEOは自社でも取り組むことが可能です。
しかし、日々Googleのアルゴリズムがアップデートされるなか、より良い成果を素早く出すにはスキルや経験が必要です。
自社でSEOに取り組んでみても思うように成果が出ない場合は、専門家に相談してみることをおすすめします。
専門家からのアドバイスを受けることで、改善のヒントが得られるはずです。
特にサイトの規模が大きい場合には、テクニカル領域の施策が必要になることもあるため、知識がないと改善が難しいこともあります。
また、ホテルによってはSEOではなくWeb広告のほうが成果につながるケースもあるでしょう。
弊社の無料相談では、お客様の課題や目的に合わせた最適なWebマーケティング戦略をご提案しております。
ぜひお気軽にご相談ください。
無料相談フォームは1分で入力可能です。
※フォーム送信後、1営業日以内に担当者からご連絡差し上げます。
【まとめ】ホテルのホームページはユーザーファーストでの改善が不可欠
ホテル業でもSEOは有効ですが、SEOで集客を成功させるには自社のホテルに合った戦略が必要になります。
指名検索対策やマップ対策、場合によってはWeb広告やOTAの情報管理も含め、総合的に顧客の検索体験をより良いものにしていく必要があります。
公式ホームページにおいては、ユーザビリティ改善やCVR改善をおこない、予約しやすい環境を作っておくことが重要です。
まずは今回ご紹介した9つのポイントから、ご自身のホームページを見直してみてください。
- 指名検索から公式サイトへの導線をわかりやすくする
- 各ページのタイトル、メタディスクリプション、hタグを最適化する
- スマホ向けに最適化する
- サイトの表示スピードを改善する
- プランやサービスごとに魅力的なコンテンツを用意する
- 「公式ベストレート」を明記する
- Googleビジネスプロフィールの情報を充実させる
- 口コミの管理・返信をおこなう
- サイトへの流入状況をチェックする
もしSEOや集客に関してお困りのことがございましたら、弊社までお気軽にご相談ください。
株式会社エクスコアのコンテンツディレクター・ライター。
1996年生まれ。大学で言語学専攻を卒業したのち、エクスコアに入社。2020年からオウンドメディア「Webma」の運営に従事し、コンテンツ制作・編集・SEO業務に携わる。累計100記事以上を執筆し、PV数・CV数400%超成長に貢献。