嫌がらせでリスティング広告をユーザーにたくさんクリックされたらどうなるか?という不安を抱えていらっしゃいませんか?
リスティング広告はクリック課金型の広告なので、クリック数に比例して費用は増えるため、悪質なクリックで予算を使い切ってしまわないか不安ですよね。
実はGoogleやヤフーのリスティング広告には不正・無効クリックと呼ばれるクリックが存在し、不正・無効クリックには費用が発生しません。
この記事では、以下を中心に不正クリックについて解説します。
- どのようなクリックが不正クリックに該当するのか?
- 不正クリックは全体のクリックのうちどれくらいを占めているのか?
嫌がらせでリスティング広告をたくさんクリックされることが不安な方や、限られた予算で効果を出せるか不安な方はぜひ参考にしていただけると幸いです。
リスティング広告については当サイトの別記事で詳しく解説しています。
リスティング広告を基礎から理解したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
【おさらい】リスティング広告の課金体系
まずはリスティング広告の仕組みをおさらいしましょう。
リスティング広告は、検索広告・検索連動型広告・PPCなどと呼ばれるWeb広告です。
リスティング広告を出稿できる媒体の代表的なものは『Yahoo!広告』『Google広告』などがあります。
リスティング広告はCPC(クリック課金)型の広告です。
CPC課金型の広告は次の式で広告費用が決まります。
広告費用=クリック数×CPC(クリック単価)
CPCは広告主がコントロールできるものですが、クリック数は検索ユーザーがクリックした数なので、広告主がコントロールできません。
つまりクリック数が増えれば広告費も必然的に増えていくのです。
そこで一つ懸念される点が、『広告をわざと何回もクリックされるとどうなるの?』ということです。
次の章からこの点について解説します。
不正・無効クリックとは?
ここから本題の「不正・無効クリック」について見ていきましょう。
不正クリックは、サービスや商品を購入したり検討したりする目的がないユーザーがクリックをさします。
意図的・無意識に限らず、興味のないユーザーが広告をクリックすることだと考えていただいて問題ありません。
また、不正クリックは無効クリックとも呼ばれます。
さらに、リスティング広告の媒体としてメジャーなGoogle広告、Yahoo!広告では「無効なクリック」として表現されています。
不正クリックには『悪意のあるユーザー』『悪意のないユーザー』からのクリックが存在します。
たとえば、悪意のあるユーザー不正クリックは『競合他社が広告費を発生させようと意図的にクリックする』、悪意のないユーザーからの不正クリックは『見るつもりがなかったのに間違ってクリックをしてしまった』などのケースが存在します。
不正・無効クリックに該当するケース
不正・無効クリックは主に3つが該当します。
- 連続クリック
- 不正ソフトウェアを利用したクリック
- 意図的にクリック数増加を目的としたクリック
たとえば、以下のようなケースですね。
例1.ユーザーが操作を誤り、表示されている広告をダブルクリックしてしまう
例2.競合他社などがツールやソフトウェアを利用して広告を何度も意図的にクリックする
仮にこのように不正クリックが続くと、広告出稿していても「届けたいユーザー」に届く前に、『莫大な費用がかかってしまう』『広告予算が上限に達する』など大きな機会損失が生まれてしまいます。
機会損失を防ぐためにも、不正クリックがどのようなものかを理解しておきましょう。
クリックの30%は不正・無効クリックの可能性がある?
Web担当者の方には、信じられない話かもしれませんが、リスティング広告の30%は不正・無効クリックの可能性があるといわれています。
2013年12月にアメリカの企業「SOLVE media」おこなった調査では、PCに表示される広告のうち22〜29%、モバイルに表示される広告のうち11〜14%はそれぞれボットでのアクセスだと報告されています。
(Solve Media: Engagement Advertising Technology | CAPTCHA, Pre-roll, Brand Tags)
しかし、この調査から7年経った2020年現在では、GoogleやYahoo!のテクノロジーも進化しているため、不正アクセスは大きく減りました。
弊社が実際に運用しているGoogle広告のリスティング広告では、無効クリックの割合は平均5.07%でした。
業種別の無効クリック率 | |
広告主の職種 | 無効クリック率 |
平均 | 5.07% |
歯医者 | 2.89% |
水道サービス | 7.88% |
司法書士 | 5.67% |
ブライダル | 7.60% |
ポイントサイト | 1.29% |
起業支援 | 1.73% |
※各業種の過去1年の実績 |
2013年のデータと比べると、2020年7月時点で実際に発生している不正クリック率は大幅に低い数字でした。
これはGoogleやYahoo!などの媒体も不正クリックへの対策を強化からだと考えられます。
つまり、不正・無効クリックは一般的に「起こりうるもの」ではありますが、媒体の企業努力によりその割合は減少しているということです。
GoogleとYahoo!は不正・無効クリックに対して、それぞれ見解を公表しているので、次の章で確認していきましょう。
不正・無効クリックに対するGoogleの見解
Googleはどのようなクリックが不正クリックに該当するかを公表しています。
- 意図的に手動でクリック数を増やすもの
- 意図的に自動ツールなどでクリック数を増やすもの
- ダブルクリックなどの余分なクリック
Googleはすべてのクリックを、独自のシステムにより不正クリックを識別しています。
また、あとから見つかった不正なクリックにおいても、次回の請求時に金額が調整されるため、不正広告に対して不利益な請求がされることはありません。
不正・無効クリックに対するYahoo!の見解
次にYahoo!が不正クリックに対しての見解を確認しましょう。
Yahoo!では、品質改善対策として「広告品質のダイヤモンドの取り組み」という無効クリック対策も含まれた対策をおこなっています。
Yahoo!がおこなっている無効クリックへの対策は以下のとおりです。
- 自動フィルターによるオンライン検出
- トラフィック分析によるオフライン検出
自動フィルターやトラフィック分析により無効クリックを除外し、課金対象のクリックを識別しています。
不正・無効クリックの確認方法
次に不正・無効クリックを確認する方法を見ていきましょう。
リスティング広告の出稿でよく利用されるGoogle広告とYahoo!広告、それぞれの媒体での不正・無効クリックの確認方法を紹介します。
Google広告の場合
Google広告による不正・無効クリックの確認方法は以下のとおりです。
- Google広告の管理画面に入る
- すべてのキャンペーンページでキャンペーン一覧を選択
- [表示項目]内の[表示項目の変更]を選択
- [掲載結果]内の[無効なクリック]・[無効なクリック率]を追加
- [適用]をクリック
- 無効クリック数が実際に表示される画面
Googleでは以上の手順で不正クリックを確認できます。
Yahoo!広告の場合
Yahoo!広告の場合は以下の方法で確認できます。
- ヤフープロモーション広告の管理画面に入る
- キャンペーン一覧内の[表示]を選択
- [表示項目の編集]を選択
- 表示項目の[無効なクリック数]・[無効なクリック率]にチェック
- [適用]をクリック
- 無効クリック数が実際に表示される画面
このような操作で『期間内に発生した無効なクリック数』『無効なクリック率』が表示されます。
不正・無効クリックが起きた場合の対処法
次に実際に不正・無効クリックが起きた場合、どのように対処をすれば良いのかを見ていきましょう。
ポイントは「返金してもらう」「競合に広告表示しないように設定する」「専用ツールを利用する」です。
それぞれ細かく見ていきましょう。
媒体のサポートに連絡して返金してもらう
Google広告・Yahoo!広告を運営しているGoogle・ヤフーに連絡をして返金してもらいましょう。
Googleもヤフーも不正クリックで発生した広告費は、連絡をしなくても返金してもらえますが返金額が間違っていると考えられる場合には、この方法が有効です。
Googleでは過去 2ヵ月間の不正・無効クリックを変換対応してもらえます。
Google広告で不正クリックの返金額を確認する方法は以下の通りです。
- Google 広告にログインする
- 管理画面の右上にあるツールアイコンをクリックする
- [設定]内の[ご請求とお支払い] を選択する
- [料金の履歴] ページ内の [無効な操作]を確認
このような方法で確認ができます。
まずはご自身のGoogle広告アカウントから返金額を確認してみましょう。
競合・取引先に広告を表示しない設定をする
不正・無効クリックを防ぐ方法として、競合や取引先のユーザーに広告を表示させないというものもあります。
これは競合企業のや取引先のIPアドレスを利用し、そのIPアドレスへの広告表示を止めるという方法です。
理論的には可能ですが、競合企業のIPアドレスを獲得することが難しいため実行は現実的に難しいです。
しかし、このような方法もあることは理解しておくと良いでしょう。
専用のツールで対策する
不正クリックを防ぐツールも世のなかには存在します。
有料ツールとして不正クリックを防ぐツールを提供している企業もあり、そのようなツールを利用して不正クリックを防止できます。
ただし、ツールによってどれくらいの効果がでるのかを考えた上で導入を検討しましょう。
【Q&A】リスティング広告の不正クリックに対してよくある質問
この記事でも紹介した内容ですが、リスティング広告の不正クリックに対して、よくある質問をまとめます。
リスティング広告が意図的にたくさんクリックされたら費用は発生する?
A.しません。
不正クリックに数えられるクリックは媒体側で自動判別され、それに伴って発生した広告費用は返金されます。
リスティング広告の不正クリックで発生した費用は支払い義務がある?
A.ありません。
不正クリックで発生した費用は返金されます。ただし、不正クリック以外のクリックで発生した費用については支払い義務があります。
不正クリックは法律的には問題ないの?
A.不正クリック自体は法律的には問題ありません。
【まとめ】無駄な広告費をなくそう
ここまでリスティング広告における「不正クリック」「無効クリック」への対処法を紹介しました。
不正クリックや無効クリックは、広告出稿費用のなかでも一定の割合を占めているため、無駄な広告費を支払っている可能性があります。
弊社の運用実績では、2020年時点での不正クリックの平均は総クリックの5%程度でした。
そのため媒体側の企業努力によって、不正クリック率は大幅に減少していると考えられます。
嫌がらせでリスティング広告を何度もクリックされるのではないかとお考えの方は、安心してリスティング広告の運用や依頼をおこなうと良いでしょう。