「ビッグキーワード」という概念をご存知でしょうか?
SEO担当者のなかには、「ビッグキーワードで上位表示するぞ!」と意気込んでいる方もいるかもしれません。
ビッグキーワードは、月間の検索回数が多い検索キーワードのこと。
上位表示できれば莫大なアクセスが期待できる対策キーワードとして知られています。
しかし、ビッグキーワードを狙ったSEOには、かけたお金と時間に対して得られる成果が見合わないリスクもあります。
そこで今回は「ビッグキーワードって何?」というSEO初心者から「将来的にビッグキーワードで1位を獲りたい」という方まで参考になるよう、以下のトピックについて解説しました。
- ビッグキーワード とは(ミドルキーワードやスモールキーワードとの違い)
- ビッグキーワードで上位表示するメリット
- ビッグキーワードの問題点
- SEOで成果を出したい方が狙うべきキーワード
- ビッグキーワードでの上位表示につながるポイント
Webサイトを運営している方は、ぜひこの記事を読んでSEOのキーワード選定・戦略策定に活かしてください。
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目次
ビッグキーワードとは
ビッグキーワードとは、検索エンジンで検索される回数が多いキーワードのこと。
一般的には、
- 検索ボリュームが1万回以上
- 1単語(〜2単語)
の検索キーワードを指すことが多いです。
※SEOでは月間の検索回数を「検索ボリューム」と呼びます。
たとえば、以下のキーワードはすべてビッグキーワードに該当します。
- 「SEO」(検索Vol. 60,500)
- 「賃貸」(検索Vol. 301,000)
- 「ミネラルウォーター」(検索Vol. 33,100)
ただし、上記の「1万回以上」「1単語」という基準はあくまでも一般的な目安であり、ビッグキーワードを定義するものではありません。
業界やジャンルによっては、最も多く検索されるキーワードが1万回に満たないこともあり、その場合には検索ボリュームが数千回でもビッグキーワードになりえます。
ビッグキーワードは「検索ボリュームが比較的大きく、競合性が高いキーワード」と覚えておくと良いでしょう。
なおビッグキーワードは、「ビッグワード」と呼ばれることもあります。
ミドルキーワード・ロングテール(スモール)キーワードとの違い
SEOではビッグキーワードを軸に、キーワードを以下の3種類に分類します。
- ビッグキーワード
- ミドルキーワード
- ロングテールキーワード(スモールキーワード)
ビッグキーワードとロングテールキーワードの中間に位置するキーワード。
ビッグキーワードと比較すると月間の検索回数も競合性も下がります。
一般的には2単語で構成され、月間の検索回数が500回〜1万回未満の以下のようなキーワードを指す場合が多いです。
- 「SEO キーワード」(検索Vol. 1,600)
- 「賃貸 一人暮らし」(検索Vol. 1,000)
検索回数が少なく、競合性も低いキーワード。
一般的には3語〜4語で構成され、月間の検索回数が500回未満の以下のようなキーワードを指すことが多いです。
- 「SEO キーワード ツール」(検索Vol. 170)
- 「賃貸 一人暮らし 探し方」(検索Vol. 20)
ミドルキーワードやロングテールキーワードは、ビッグキーワードと比較して
- 競合性が低い
- 検索意図(=ユーザーが検索した理由・目的)が明確
といった特徴があります。
反対にビッグキーワードは競合性が高く、検索意図が広いのが特徴です。
ビッグキーワードかどうかを調べる方法
あるキーワードがビッグキーワードかどうかを調べたい場合には、検索ボリューム(=月間の検索回数)を参照しましょう。
検索ボリュームはツールを用いてチェックできます。
「検索ボリューム」というと、下記の画像のような「検索ヒット件数」と混同してしまう方もいますが、両者は異なるものなので注意が必要です。
検索ボリュームの調査には、「キーワードプランナー」という「Google広告」の機能を使用するのが一般的です。
調べたいキーワードを入力して実行すると、下記の画像のように検索ボリュームが表示されます。
検索ボリュームが1万回以上のものは、ビッグキーワードと考えて良いでしょう。
ただし「Google広告」を利用するには登録作業が必要です。
「登録作業をせずに今すぐ検索ボリュームを調べたい」という方は、「aramakijake」というツールを活用してみてください。
次の章では、ビッグキーワードで上位表示するメリットを解説します。
ビッグキーワードで上位表示するメリット
ビッグキーワードで上位表示するメリットは、主に次の2つです。
- メリット1.多くのアクセスが見込める
- メリット2.認知拡大につながる
それぞれ解説します。
メリット1.多くのアクセスが見込める
ビッグキーワード最大のメリットは、多くのアクセスが見込めることです。
ビッグキーワードは、検索するユーザー(母数)が多い分、上位に表示されればページを訪問してくれるユーザーの数も増えます。
ページ単体で集客できる人数が爆発的に増加するのです。
SISTRIX社のデータによれば、検索1位の平均的なクリック率は28.5%。
参照:SISTRIX – Why (almost) everything you knew about Google CTR is no longer valid
したがって、もし「SEO」(検索Vol. 60,500)というビッグキーワードで1位にランクインすれば、そのページだけで月間17,243人のユーザーを集客できる計算になります。
月間のアクセス数 = 月間検索ボリューム × 検索順位のクリック率
約17,243 = 60,500 × 0.285(28.5%)
これはかなり大きなメリットですよね。
もしミドルキーワードやロングテールキーワードで同じ数のアクセスを確保するなら、数十・数百のページが必要です。
メリット2.認知拡大につながる
ビッグキーワードで上位表示するもう一つのメリットは、認知拡大やブランディングにつながる点です。
月間の検索回数が多いビッグキーワードでは、1ページ目にランクインするだけで表示回数も増えます。
会社名やサイト名、商品・サービス名の露出が増えるため、認知拡大に大きな効果を発揮するわけです。
また検索ユーザーは上位に表示されているサイトを「有名なサイト・信頼できる企業」と評価する傾向があります。
したがって、企業イメージを向上させる「ブランディング」にもなるでしょう。
しかし実はビッグキーワードを狙った戦略には、問題点・デメリットも存在しています。
もちろん上記のようなメリットから、ビッグキーワードで対策したくなる気持ちはわかりますが、その前に次の章でご紹介する問題点も併せて確認しておきましょう。
ビッグキーワードの問題点
ビッグキーワードだけを集中的に狙った対策や、SEOの初期段階にビッグキーワードでの上位表示を狙うのは、おすすめできません。
コストパフォーマンス面で、マイナスになってしまう可能性が高いためです。
問題は以下の4点にあります。
- 問題点1.上位表示が難しい
- 問題点2.1ページ目に表示されてもアクセスが集まらない
- 問題点3.検索意図が広すぎてコンテンツがつくりにくい
- 問題点4.CVにつながりにくい
一つずつ解説しますね。
問題点1.上位表示が難しい
ビッグキーワードでは、上位表示の難易度が非常に高い傾向があります。
これは、上位を狙う競合の数が多いためです。
またビッグキーワードで上位のサイトは、SEOに力を入れている大手企業のサイトや、業界で力を持った大規模なポータルサイトであることも多くあります。
つまり、ビッグキーワードであなたのサイトを上位表示するには、そのようなSEOに強い多数の競合サイトを上回らなければならないのです。
どんなに良いコンテンツを作っても、ビッグキーワードではサイト全体の評価が順位に影響するため、サイトを開設して数ヶ月程度では上位表示できません。
時間・労力・コストをフルで投資しても上位表示されない可能性もあることを押さえておく必要があります。
問題点2.1ページ目に表示されてもアクセスが集まらない
ビッグキーワードを狙うメリットとして、先ほど「多くのアクセスが見込める」ことを紹介しました。
しかし実は、1ページ目に表示されてもアクセスが予想をはるかに下回ることがあります。
以下のグラフをご覧ください。
グラフは「Advanced Web Ranking」がまとめた、2021年6月の1語キーワード(≒ビッグキーワード )の平均クリック率です。
1語キーワードのクリック率は、たしかに検索1位では31.4%と圧倒的に高いのですが、それ以外の順位では大幅に低下します。
たとえば、あなたのサイトが月間の検索回数1万回のビッグキーワードで10位に表示されていたとしましょう。
クリック率はわずか0.51%なので、1ページに表示されているのにも関わらず、多くても月間510回程度のアクセスしか獲得できません。
キーワードによっては、さらに流入数が減ることもあります。
そのため「とにかくビッグキーワードで1ページ目に入れば、アクセスが増えるはず」と思って対策していると、期待を裏切られる可能性があります。
問題点3.検索意図が広すぎてコンテンツがつくりにくい
ビッグキーワードの検索意図は広く抽象的です。
あらゆる検索意図が含まれているため、検索意図を捉えたコンテンツを作るのは容易ではありません。
たとえば、「カレーライス」(検索Vol. 40,500)というビッグキーワードで考えてみましょう。
ユーザーの検索意図は、以下のようにさまざまです。
- カレーライスの歴史や名前の由来、定義が知りたい
- カレーライスのレシピが知りたい
- カレーライスの材料が知りたい
- カレーライスがおいしいレストランに行きたい
- カレーライスの調理動画を見ながらカレーを作りたい
- カレーライスの画像が欲しい
そのためGoogleの検索結果も下記の画像のように多様さを残しています。
カレーライスの説明からレシピ、カレー屋さんの場所、ニュース、画像までさまざまなページやコンテンツが表示されていますよね。
一方、ロングテールキーワードでは検索意図はかなり絞り込まれるので、コンテンツが作りやすくなります。
たとえば、「カレーライス カロリー 一人前」というキーワードなら、ユーザーの検索意図は「カレーライスの1人前のカロリーが知りたい」であるとわかります。
単語数が多く検索意図が明確なロングテールキーワードと比べ、ビッグキーワードは求められる情報をコンテンツにするのが難しいのです。
問題点4.CVにつながりにくい
ビッグキーワードの4つ目の問題点は、CV(コンバージョン)につながりにくいことです。
CV(コンバージョン)とは、Webサイトの運営側がサイトを訪問したユーザーに起こして欲しいアクションのことです。
たとえば、
- 資料請求
- 商品の注文
- サービスの契約
- アプリのダウンロード
- 会員登録
などですね。
ビッグキーワードで検索するユーザーは、具体的な行動を起こすフェーズにいません。
顧客になりえない層も含まれており、深い悩みをもったユーザーではないのです。
「SEO」というビッグキーワード と、「SEO 会社 東京」というロングテールキーワードで考えてみると、資料請求に至る割合に大きな差がつくことがイメージできるのではないでしょうか?
どんなに多くのアクセスを集めたとしても、サイトを訪問してくれた方が何かしらのアクションを起こしてくれなければ、成果にはつながりません。
そのため、いち早く成果を出したいと考えているなら、ビッグキーワードでの対策は避けるほうが良いでしょう。
ではSEOで理想的な戦略・対策キーワードはどのようなものなのでしょうか?
次の章ではSEOで成果の出るキーワード・戦略をお伝えします。
SEOで確実に成果を出したいならまずはロングテールキーワード
SEOで確実に成果を出しながらサイトを大きくしていきたいのであれば、まずは「ロングテールキーワード」を狙いましょう。
最終的に上位表示したいビッグキーワード(例:「賃貸」)を軸として設定し、関連するロングテールキーワード(例:「賃貸 更新 年数」「賃貸 更新 トラブル」)から対策していきます。
流れとしては、以下のような3段階でキーワードを積み上げていくイメージです。
- ロングテールキーワードで上位を狙う・ページを増やす → ページ単位の評価
- ミドルキーワードで上位表示を狙う・ページを増やす → カテゴリーの評価
- ビッグキーワードで上位を狙う → サイト全体の評価
ロングテールキーワードでは、良質なコンテンツを作成できればサイト全体の評価がそれほど高くなくても、上位表示できる可能性があります。
一方、ミドルキーワードやビッグキーワードでの上位表示には、カテゴリーのトピックの網羅性やサイト全体の評価(内部対策・外部対策含む)が関わってきます。
この点を理解しておくと、効率よく自サイトを拡大していくことができるでしょう。
ロングテールキーワードの選び方については、当サイトの下記の記事で解説しています。
【実践的】ロングテールキーワードの選び方|おすすめのツールも紹介
ここまでを読んで「まずはロングテールキーワードで対策しよう」と思った方も、最終的にはビッグキーワードで上位表示したいと思っているはずです。
そこで次の章では、ビッグキーワードでサイトを上位表示させるためのポイントをご紹介します。
ビッグキーワードでの上位表示につながる3つのポイント
ビッグキーワードで検索上位を獲るには、数多くのSEO施策に取り組まなければなりません。
ここでは、そのなかでも特に重要な3つの項目をお伝えしておきます。
- ポイント1.検索意図に合う良質なページを増やす
- ポイント2.内部リンクを最適化する
- ポイント3.良質な被リンクを獲得する
それぞれ見ていきましょう。
ポイント1.検索意図に合う良質なページを増やす
ビッグキーワードで上位表示するには、サイト内に良質なページを増やすことが不可欠。
ポイントは、単にページを増やすのではなく、サイト内に存在するそれぞれのページを「ユーザーの検索意図を満たす良質なページ」にすることです。
というのも低品質なページは、サイト全体の評価を下げる可能性があるからです。
なお、低品質なコンテンツがサイトの一部にしか存在しない場合でも、サイト全体の掲載順位に影響を与えることがあるということにご注意ください。
上記のGoogle公式ページでは、良質なサイトのチェックリストも掲載していますので、まだ読んだことのない方はぜひお読みください。
「良質なコンテンツ」を作るには、検索意図(顕在意図・潜在意図)を正確に把握することが最も重要です。
ユーザーを120%満足させることが、Googleからの評価にもつながるからです。
検索意図を把握してコンテンツに活かす具体的な方法については、下記の記事で解説しています。ぜひご参照ください。
SEOで重要な検索意図とは?正確に把握してコンテンツに活かす方法
ポイント2.内部リンクを最適化する
サイト内のページを内部リンクで適切に構造化することで、ビッグキーワードで上位表示できる可能性が高まります。
内部リンクとは、自サイト内のページを結ぶリンクのこと。
あるページを訪れたユーザーが、関連する別のページに移動するのを仲介します。
たとえば、以下のようなものですね。
この内部リンクが多く向けられたページは、検索エンジンからサイト内のより重要なページとして認識されます。
そのためビッグキーワードで上位表示させたいページには、下層のページからリンクを集める必要があります。
内部リンクのSEO効果や最適化の方法は、下記の記事で詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてください。
【内部リンクの教科書】SEO効果と最適化の5つのポイント -webma-
ポイント3.良質な被リンクを獲得する
良質な被リンクの獲得も、サイト全体の評価を押し上げ、ビッグキーワードでの上位表示に貢献します。
被リンクとは、他サイトに設置された自サイトへのリンクのこと。
Googleはこの被リンクを、第3者からの評価として認識します。
そのため被リンクを獲得できれば、「みんなに紹介されている良いサイトだ。」とGoogleに認識され、サイト全体の評価も向上するのです。
ただし、被リンクは「良質」である必要があります。
良質な被リンクとは、自サイトと関連性が高く、評価の高いサイトから受けた自然なリンクのこと。
売買したリンクや低品質なサイトから受けたリンクではありません。
被リンクを増やす方法には、次のようなものがあります。
- リンク営業をする
- インタビュー・取材をする
- 高品質なコンテンツを作る
被リンクの具体的な獲得方法については、下記の記事で解説しています。
被リンクとは?SEOとの関係性と被リンクの増やし方を解説
【まとめ】ビッグキーワードのSEO難易度は高い!中長期的な目で上位表示を狙おう
いかがでしたか?
今回はビッグキーワードについて解説しました。
ビッグキーワードは上位表示できれば多くのアクセスが期待できますが、その難易度は高く、SEOに取り組み始めた初期に狙うべきキーワードではありません。
はじめはロングテールキーワードから着実に対策し、中長期的にビッグキーワードを狙っていくのが最も賢いやり方です。
今回ご紹介した内容を踏まえ、ぜひ戦略的にSEOに取り組みましょう。
とはいえ、初心者がいきなりSEOで成果を出すのは、なかなか難しい面もあります。
特にサイトを立ち上げて軌道に乗るまでには、「どうしていいかわからない」と悩んでしまうWeb担当者は少なくありません。
もしキーワード選定やコンテンツ制作、内部・外部対策など、何かSEOでお困りのことがございましたら、お気軽に弊社にご相談ください。
株式会社エクスコアのコンテンツディレクター・ライター。
1996年生まれ。大学で言語学専攻を卒業したのち、エクスコアに入社。2020年からオウンドメディア「Webma」の運営に従事し、コンテンツ制作・編集・SEO業務に携わる。累計100記事以上を執筆し、PV数・CV数400%超成長に貢献。