5月7日、Googleは新たなスパムポリシー「サイトの評判の不正使用」の適用を開始しました。
これは以前から問題になっていた、いわゆる「寄生サイト」「ドメイン貸し」と呼ばれるサイトへの対処です。
この記事では、新ポリシー「サイトの評判の不正使用」の概要や現時点でわかっていることについてお届けします。
目次
サイトの評判の不正使用とは
「サイトの評判の不正使用」とは、ホストサイトの一部を借りた第三者が、ホスト側の監視や関与なしにコンテンツを公開する行為です。
ホストサイトへの評判・評価を不正に利用して、順位を上げることを目的としている場合がこれに該当します。
SEO業界では「寄生サイト(Parasite site)」「ドメイン貸し」「サブディレクトリ貸し」などとも呼ばれます。
今回のスパムポリシーの実施については、3月のコアアップデートおよびスパムアップデートの発表時点で、5月5日に施行することが発表されていました。
適用まで約2ヶ月の猶予が設けられていたため、今回のポリシー適用については当初から大きなインパクトが予測されていました。
Googleは「サイトの評判の不正使用」の対象について、次のような説明もしています。
サードパーティ コンテンツがすべて違反であると見なされるわけではありません。新しいポリシーでは、検索ランキングの操作を目的として、十分な監視を受けずにホストされている場合のみ違反となります。
出典:2024 年 3 月のコア アップデートとスパムに関する新しいポリシーについてウェブ クリエイターが知っておくべきこと | Google 検索セントラル ブログ
5月7日にポリシーの適用が開始。まずは手動対策から
日本時間の5月7日、Google SearchLiason のXアカウントでは、手動対策を実施中とのコメントがありました。
現在は手動の対応のみを行っています。アルゴリズムのコンポーネントは確かに導入される予定ですが、すでに述べたようにまだライブではありません。
※弊社による翻訳
現時点では手動による対応のみがおこなわれているということになります。
つまり、このポリシーはまだ検索アルゴリズムに組み込まれているわけではありません。
- 手動対策:Googleのスパムチームスタッフが目視で個別に対応
- 自動対策:検索アルゴリズムによる自動化での対応
Googleは過去にこのスパムポリシー適用について、「手動による対策」と「アルゴリズムによる自動対策」の両方をおこなうと発表しています。
そのため、今後はアルゴリズムによる自動対策も導入される見込みです。
寄生サイトが大きな影響を受けている
5月9日現在、国内外問わず、ポリシーに違反しているサイトでは大きな順位変動が起きているようです。
以前からサイト貸しに対して警鐘を鳴らしてきた辻さんをはじめ、SEO業界で情報発信している方々も現在の状況や考察を以下のように報告しています。
海外においても、大手メディアがホストの一部のクーポン配布サイトが、影響を受けているようです。
いま手動対策を受けていないサイトであっても、該当のポリシー違反行為をおこなっていれば、今後は対策を受ける可能性があります。
一方で、真っ当に運営している多くのサイトは、こうしたスパム行為をおこなうサイトが制裁を受けることで、より適切な評価・順位へと改善が見られるかもしれません。
手動対策を受けた寄生サイトにはメッセージが届く
手動対策を受けたサイトには、Google Search Console でメッセージが届き始めているとのことです。
画像のように、手動対策の原因が「サイトの評価の不正利用」であると明示されています。
手動による対策を受けると、検索順位が低下したり、検索結果からページが削除されたりする可能性があります。
ただし、海外では誤解により手動対策されているサイトも出てきているとのこと。
心当たりがない場合は、「サイトの評判の不正使用」について内容をしっかりと確認し、再審査のリクエストをおこなうと良いでしょう。
Googleが公表している「サイトの評判の不正使用」の例は以下のとおりです。
- サードパーティによって書かれた短期ローンのレビューに関するページが教育関連のサイトによってホストされている。検索ランキングの操作を主な目的として、同じページがウェブ上の他のサイトにも配信されている
- 「最高のカジノ」に関するサードパーティ ページが医療サイトでホストされている。このページは検索ランキングの操作を主な目的として作成されており、ホストしている医療サイトはほとんどまたはまったく関与していない
- 映画レビューサイトに表示されるとユーザーが困惑するようなトピック(「ソーシャル メディア サイトでフォロワーを購入する方法」、「優れた占いサイト」、「優れた小論文作成サービス」など)を扱うサードパーティ ページが、検索ランキングの操作を目的として映画レビューサイトでホストされている
- サードパーティが書いた「ワークアウト サプリメントのレビュー」ページがスポーツ関連のサイトでホストされている。スポーツ関連サイトの編集者はそのコンテンツにほとんどまたはまったく関与しておらず、検索ランキングの操作がページをホストする主な目的である
- サードパーティが提供するクーポンがニュースサイトでホストされている。ホストサイトによる監督、関与はほとんどまたはまったくなく、検索ランキングの操作を主な目的としている
一方で「サイトの評判の不正使用」とは見なされない例としては、次のものがあります。
- ニュース サービスまたはプレスリリース サービス用のサイト
- 他のニュース メディアからのニュース コンテンツをシンジケーションしているニュース メディア
- フォーラム ウェブサイトやコメント セクションなど、ユーザー作成コンテンツが可能なように設計されたサイト
- コラム、意見記事、記事、その他の編集記事など、ホストサイトが十分に関与し確認しているもの
- サードパーティのコンテンツ(「記事広告」や「ネイティブ広告」などのページ)で、ホストサイトの十分な関与のもと作成され、コンテンツを直接読者に共有することを目的としており(出版物内のプロモーションとしてなど)、コンテンツをホストしている目的が検索ランキングを操作するためではないもの
- ページ全体でのサードパーティの広告ユニットの埋め込み、またはページ全体での適切に処理されたリンクでのアフィリエイト リンクの使用
- ホストサイトの十分な関与のもと掲載されているクーポン
手動対策を受けているか確認する方法
自社サイトが手動対策を受けているかどうか気になる場合は、Google Search Console で確認可能です。
管理画面左下にある「セキュリティと手動による対策」をクリック。
上の画像のようにプルダウンで「手動による対策」が表示されるので、「手動による対策」をクリックしてください。
手動による対策を受けていない場合は、「問題は検出されませんでした」と表示されます。
もし手動による対策を受けている場合は、先ほど紹介したような「問題を検出しました」という画面が表示されるはずです。
まとめ
今回はGoogleの新スパムポリシー「サイトの評判の不正使用」適用に関する速報をお届けしました。
今後もアルゴリズムへの反映など、動きがあると思いますので、SEO担当者は注目してみてください。
また、長期的にSEOで成果を出し続けたいなら、このようなスパム行為には関与しないことです。
今回、寄生サイトが制裁を受けたように、Googleは過去にも次々に現れるスパム行為に対処してきています。
Googleの隙を突いて順位を上げようとする行為は、いずれGoogleの規制を受けることになるわけです。
SEOに取り組む方は、常に自社の顧客や検索ユーザーのことを第一に考え、愚直に有益なサイトへと改善することにフォーカスすることをおすすめします。

株式会社エクスコアのコンテンツマーケター・ライター。
1996年生まれ。大学で言語学専攻を卒業したのち、エクスコアに入社。2020年からオウンドメディア「Webma」の運営に従事し、コンテンツ制作・編集・SEO業務に携わる。累計100記事以上を執筆し、PV数・CV数400%超成長に貢献。